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2022.7.20 記事
ブロックチェーンの実装事例

仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術として開発されたブロックチェーン。その強力な改ざん耐性という技術革新は金融業界はもとより、さまざまな業界に波及しつつあります。ブロックチェーン技術の概要については、以前の記事「ブロックチェーンとは?」で紹介しているとおりですが、今回はこうしたブロックチェーンの実装事例について紹介します。

 

◆ブロックチェーンの市場について

ブロックチェーンの最大の特徴は改ざんが極めて困難であること。これにより、データの信頼性・透明性を担保できるためさまざまなビジネスが注目をしています。データは個々の所有者に分散されて保存されるので、これまでの巨大企業が集約するビジネスにあった「中央管理者」「巨大サーバ」が不要になり、これが大きな変革だとされています。

このように、これからの成長が期待されるブロックチェーンの市場規模はどのように推移するのでしょうか?

 

◆国内市場は2025年までに7000億超規模に

矢野経済研究所が2022年に調査した「国内におけるブロックチェーン活用サービス市場」の報告によれば、2021年度のブロックチェーン活用サービス市場規模は783億3,000万円で、今後、成長は大きく右肩上がりとなることが予想され、2025年度の市場規模は7,247億 6,000万円と試算しています。5年間で約10倍もの伸び率を予測されているブロックチェーン。活用規模の拡大は主に3つの領域と言われています。それが「トレーサビリティ(追跡可能性)」「認証」「NFT」とされています。

「トレーサビリティ」については、食品や電子部品、薬品などサプライチェーンのマネジメント要素であり、流通経路の透明性確保や最終消費者の特定などに役立ちます。「認証」については、マイナンバーカードなど各種証明書を紐付けたり、卒業証明書などのペーパーの電子化に役立ちます。「NFT」はゲーム業界やアートにおいてすでに割拠を示しています。

 

◆世界市場は2028年までに約29兆円規模に達する見込み

株式会社グローバルインフォメーションの発表によれば、ブロックチェーンの世界市場規模は2021年に約50億米ドル(約 6,500億円)となり、今後2028年に2,279億9,600万米ドル(約29 兆円)にまで成長すると予測しています。この間の年成長率(CAGR)72.9% になる見込みとしており、これは驚異的な成長を表しています。

2021年時点ではブロックチェーンと言えば仮想通貨や金融業界での活用が中心とされてきましたが、その後は業界の幅がどんどん広がり、小売、物流・輸送、ヘルスケア、自動車、メディア・エンターテインメント、政府といった主要産業で利用されることになるだろうと発表しています。また、ブロックチェーンを取り入れて投資を行う企業も増えています。そのため、今後はビジネス上の課題を解決するためにブロックチェーンを活用したソリューション開発も並行して進んでいくことが予測されています。

 

◆ブロックチェーンの活用事例紹介

ここでは、日本国内企業でのブロックチェーンの活用事例について紹介します。

 

■貨幣のNFT鑑定書を日本で初めて発行―日本貨幣商協同組合

 

貨幣・紙幣の鑑定書を発行する日本唯一の団体である日本貨幣商協同組合は2022年3月、日本初となる「デジタル鑑定書(NFT鑑定書)」の発行をスタートさせました。偽造が不可能な非代替性トークン(NFT)を活用し、商品の偽造防止、真贋判定に役立てます。デジタル鑑定書はプラスチックカードタイプで、一見するとなんの変哲もないカードですが、スマホにかざすと、証明すべき商品の画像や鑑定書データが現れます。

 

■印影がそのまま証明書となるNFT(デジタル)印鑑を共同開発−シヤチハタほか

シヤチハタは2022年3月ケンタウロスワークス、早稲田リーガルコモンズ法律事務所と共同でブロックチェーンを利用した電子印鑑システム「NFT印鑑」を共同開発することを発表しました。印影データをNFT化することで、印鑑保有者の個人情報と印影情報を結び付ける電子印鑑が誕生します。押印された印影から押印者を証明するほか、印影の偽造リスクを排除します。これにより、今後さまざまな電子契約プラットフォーム間でNFT印鑑が利用され、現在の電子契約における不便も解消されていくことでしょう。

 

■在宅医療・遠隔診療をよりスムーズにするNFT処方箋を共同開発 −canow 株式会社

canow 株式会社は2022年4月、GENie株式会社、セントラル薬局グループ、東京白金台クリニックと共同で「NFT処方箋」の実証実験を行いました。canow社では、ブロックチェーン技術を活用して個人が主体となり医療健康情報を管理するID管理型ライフログサービス「mine」を提供しており、NFT 処方箋を「mine」で管理することで、事前に登録した基礎疾患や常備薬などの情報と合わせて薬局へ処方箋を共有します。これにより、GENie社が処方薬の配送 セントラル薬局が処方薬の調剤、東京白金台クリニックが対面診療、遠隔診療診療とNFT処方箋の発行という個々に担っていた役割を、複数の事業者間での情報共有の円滑化を図るとともに、情報の秘匿性も担保することを可能にします。

 

 

◆ブロックチェーンの実用化に向けての今後の課題とは?

このように金融業界以外にも拡大するブロックチェーン技術。これによりこれまで解決できなかったビジネスの課題が解決される一方で新たな問題も生まれているのも事実です。特にビジネスにおいてはスケーラビリティやセキュリティの問題の解決は急務ですが、活用と並行して今後はさまざまな開発が進行することが予想されています。そのため、ブロックチェーンの技術向上がより促進されることも期待できるため、今後の動向に注視しておきたいところです。

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