back to top
2022.7.12 記事
Hyperledger Fabricについて

Hyperledgerは非営利組織「The Linux Foundation」のプロジェクトの1つとして、2016年に発足されました。企業向け許可型ブロックチェーンを構築するためのフレームワーク、ツールセット、ライブラリが提供されています。フレームワークでは「Fabric」「Indy」「Iroha」「Sawtooth」の4種類があり、今回はその中でも最も普及している「Fabric」について紹介します。

 

◆主要なブロックチェーンプラットフォームについて

​​

https://unsplash.com/photos/GKn2i-NETWA

 

金融、不動産取引、物流、医療など、ブロックチェーンはさまざまな領域で活用されるようになりました。その動作環境を表すブロックチェーンプラットフォームには数多くの種類が存在します。各プラットフォームにはそれぞれの特徴があり、利用目的に合わせて、その開発基盤を選択する必要があります。ここでは主なプラットフォームについて紹介します。

 

■Ethereum(イーサリアム)

仮想通貨ETH(イーサ)として知られるEthereumは、オープンソースのブロックチェーンプラットフォームです。カスタムビルドのブロックチェーンネットワークでスマートコントラクトを実行するのに最適とされ、仮想通貨の送金だけでなく、商品の売買や不動産取引などにも応用できる汎用性があり、様々な分野で構築されていくことが期待されています。また、分散型アプリケーション(Decentralized Applications: dApps )を構築するための開発環境を提供するプラットフォームとしての機能を持ちます。 dAppsとは、ブロックチェーンを用いたサービスやゲームを提供するアプリの総称で、アプリケーションの参加者全員がデータを分散管理することで、仕様変更などの意思決定に関わることができるのが特徴です。イーサリアムは、特定の技術を持ったプログラマーでなければ開発が難しい領域であったdAppsを容易にしました。

 

Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャー・ファブリック)

Hyperledger Fabricクは企業向けの分散台帳プラットフォームです。プラグ・アンド・プレイで利用可能なコンポーネントを使用し、高度にモジュール化されたアーキテクチャを採用しており、 銀行や金融業界だけでなく、保険、ヘルスケアといった産業のほか、音楽のデジタル配信など幅広い産業においてイノベーションや汎用化を可能にしています。

Hyperledger Fabricクは許可性ブロックチェーンに分類されます。これは互いに匿名で完全には信用できないパブリック・パーミッションレスとは異なり、参加者は互いを知っているという点が特徴です。 例えば、法的な合意など、参加者の間に何らかの形で信頼を構築することでネットワークを運営することができるようになります。そのため、ハイパーレッジャー・ファブリックは組織間の信頼性が高まるというメリットがあります。

また、共有したいデータのみを共有したい当事者に公開するという機密性の高い取引を実現している点もメリットとして知られています。なお、JavaやGo、Node.jsといった汎用プログラミング言語によってスマートコントラクトを記述できるので、イーサリアムのようにドメイン固有言語(DSL)を学ぶ必要はありません。

 

■EOS(イオス)

EOSとは、EOSプロジェクトと呼ばれる分散型アプリケーションのプラットフォームのことで、プロジェクトの資金調達のために発行される仮想通貨のことを指します。2018年に発行されたEOS.IOとよばれるソフトウェアを核に、仮想通貨としてのEOSをトークンとして表記します。EOSは、処理能力などにおいてイーサリアムをしのぐ機能性があると期待されています。

 

Ripple(リップル)

Rippleとは、SWIFT(スイフト)など既存の国際送金システムに代替することを目的に開発された国際送金に特化した次世代型決済プラットフォームです。送金スピードと手数料の安さで定評があり、トランザクション速度(tps)1500(約 3.6 秒)という速度での国際送金を可能にし、取引手数料はわずか0.001 ドル程度となっています。

■Stellar(ステラ)

Stellarは分散型台帳ネットワークのプラットフォームです。Stellar Consensus Protocol(SCP)というコンセンサスメカニズムを利用し、このプロトコルはマイニングを必要としないのが特徴です。このSCPにより迅速かつ、低コストで多くの量の取引を処理できます。開発者はモバイルウォレットやPayPal決済のようなスマートバンキングツールを構築できます。Stripeやウクライナ政府など、大企業や国との提携実績があり、イーサリアムやビットコインを超える一日取引量があります。

 

◆Hyperledger Fabricの仕組み

このようにさまざまなブロックチェーンプラットフォームがありますが、ここでは注目のHyperledger Fabricの仕組みについて簡単にまとめてみました。

 

■高度なプライバシー管理機能

Hyperledger Fabricは高度なプライバシー管理機能を備えています。モジュール式のアーキテクチャを持つソリューションを開発するための基盤として設計されており、台帳データベース、コンセンサスメカニズム、メンバーシップサービスなどのコンポーネントを構築することができます。また、コンテナ技術を活用し、エンタープライズレベルのネットワークセキュリティ、スケーラビリティ、機密性を実現しています。

 

トランザクションは追跡可能かつ取消不能

Hyperledger Fabricのスマートコントラクトは、「_chaincode_」と呼ばれ、チェーンコードとは資産と関連する取引を定義するソフトウェアです。スマートコントラクトでは、当事者間での自己実行条件において、トランザクションは追跡可能かつ取消しは不可能です。 そのため、意思決定は迅速化され、ビジネス上の時間節約とコスト削減が可能となります。

 

◆活用事例

 

Hyperledger Fabricはさまざまな業界で活用されていますが、以下に2つ分かりやすい事例を紹介します。

 

  •  非接触ブロックチェーンデジタルチケット(米・エイドリアン・アーシュト・パフォーミングアーツ・センター)

米・マイアミにあるエイドリアン・アーシュト・パフォーミングアーツ・センターではコロナ禍における「非接触ブロックチェーンデジタルチケット」の活用し、対面式パフォーマンスの開催を実現してきました。イベントチケットの非接触型モバイル配信により、利用者の感染対策と利便性を向上させ、ブロックチェーンの暗号化によるチケット購入の安全性確保をし、詐欺やダフ屋からの不公正な取引をシャットアウトしました。

 

  • 車両部品のコンプライアンス認定(仏・ルノー) 

フランスの自動車メーカー大手・ルノーではHyperledger Fabricを活用して車両部品のコンプライアンス認定を成功させています。EUでは自動車の市場監視規制が厳しく、コンプライアンスに対応するためサプライチェーン全体の構造の調整が必要です。その中でルノーは、設計から生産に至るすべての自動車部品のコンプライアンスを認証するためのブロックチェーンプロジェクト「エクシード(XCEED)」を開発。テストでは100万件以上の文書を保存し、1秒間に500件のトランザクションを行いました。

 

  • 航空機部品のマーケットプレイス「GoDirect Trade」(米・Honeywell International社)

米航空部品大手企業Honeywell International社の航空宇宙部門「Honeywell Aerospace」では、中古航空機部品のeコマース「GoDirect Trade」を運営しています。中古の航空機部品は規制当局の認証が必須となり、部品の稼働時間数や、誰がいつ、どこで行ったかを示す修理情報、GoDirect Tradeに出品される以前の所有者などの膨大な履歴情報が必要でした。これらをスマートコントラクトにより、権限のある参加者であれば共有台帳(Hyperledger Fabric)に書き込まれたデータを参照することができるようにしました。同時に、そのデータは事後的な改ざんを不可能にし、2700社以上が利用できるeコマースへと導きました。

 

 ◆まとめ 

BEETソリューションイノベータではこのようなエンタープライズ向けのブロックチェーン開発も承っております。企業の規模に関わらず、さまざまなソリューションを提供しておりますので、お気軽に下記までお問い合わせください。

© Bsi 2021. All Rights Reserved.